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猫に関係するお酒をまとめてみた。
定番商品の銘柄やラベルなどを紹介しよう。
コラボや限定品は機会があれば紹介したい。
●ビール
ビールでは、以下を紹介する。
- 水曜日のネコ/ヤッホーブルーイング
- ラッキーキャット/黄桜
・水曜日のネコ/ヤッホーブルーイング
よなよなエールを手掛けるヤッホーブルーイングが造るホワイトエールが水曜日のネコである。
正確にはベルジャン・ホワイトエールで、風味付けにオレンジピールやコリアンダーを使用。
フルーティーで飲みやすいビール。
コンビニやスーパーでもよく見かける。
一風変わった名前の由来は、
『週の真ん中の水曜に、自由に暮らすネコのように、ビール片手にゆっくりしてほしい』
ということから命名。
ネコの種類は不明だが、ツンとした表情が魅力的である。
・ラッキーキャット/黄桜
ラッキーキャットは大手酒造メーカーの黄桜が製造するビールである。
ビールのスタイルはホワイトエールで、柚子や山椒を風味付けに使っている。
ラッキーキャットの名前は、『幸運の招き猫』に由来する。
猫の種類は不明だが、耳と耳の間に小さなシルクハットをかぶっている。
毛並みはグレーで、瞳はゴールド、小さな牙が見えている。
●ワイン
猫に関係するワインとして、もっとも有名な『ツェラー・シュヴァルツェ・カッツ』を紹介する。
・ツェラー・シュヴァルツェ・カッツ(Zeller Schwarze Katz)
ツェラー・シュヴァルツェ・カッツはドイツの白ワインである。
日本でもワインショップは当然として、スーパーやコンビニでも見かけるほど有名。
意味はツェル村の黒猫となる。
ツェラー Zeller:ツェル村の
シュヴァルツェ Schwarze:黒い(原形はSchwarz)
カッツ Katz:猫(原形はKatze)
名前の由来は、モーゼル川沿いにあるツェル村の話にある。
3人のワイン商がツェル村にワインを買い付けに来た時、候補を3樽まで絞り込んだ。
しかし1つに決められずにいると、黒猫が1つの樽に飛び乗った。
そしてワイン商たちに威嚇のポーズをとった。
これを見たワイン商たちは威嚇までして守りたいワインは美味しいはずと感じとった。
買い付けたそのワインは評判が良かったことから、
黒猫の乗ったワインとして広まり、ツェル村の黒猫のワインとして
『ツェラー・シュヴァルツェ・カッツ』と名乗るようになった。
しかし、黒猫というワイン名を真似する者が出てきて、困ったことになる。
他のワイン銘醸地と同様に、1971年に法律で黒猫を名乗れるのは
ツェル村の16の畑のブドウから造られたワインだけと決まった。
日本で見かける黒猫のワインが複数あるのは、使われているブドウの畑が違うのである。
それぞれの違いを飲み比べてみるのも面白いだろう。
ラベルに描かれている黒猫はさまざまで、特定の種類はないようだ。
共通するのは黒い猫ということだけである。
●焼酎
焼酎では、以下を紹介する。
- 対馬やまねこ_麦米焼酎/河内酒造合名会社/長崎県
- 猫また_米焼酎/千代むすび酒造/鳥取県
- 竃猫(へっついねこ)_芋焼酎/落合酒造所/宮崎県
- 山ねこ/_芋焼酎/尾鈴山蒸留所/宮崎県
・対馬やまねこ_麦米焼酎/河内酒造合名会社/長崎県
対馬やまねこは、長崎県の対馬で造られている麦と米のブレンド焼酎。
麦焼酎9:米焼酎1でバランスよく仕上げている。
対馬では密造酒のことを「やまねこ」といい、
天然記念物の『対馬ヤマネコ』とかけて命名されたという。
ラベルは容量によって違う。
1800mlと720mlには猫の肉球が描かれている。
900mlには座っている対馬ヤマネコが、
300mlには対馬ヤマネコの子猫が描かれている。
・猫また_米焼酎/千代むすび酒造/鳥取県
猫または、鳥取県の千代むすび酒造が造る米焼酎。
米焼酎を5年熟成させることアルコール感(25度)はまろやかになって、飲みやすい。
フタに貼られたシールには、『猫又にたぶらかされてはなりませぬ』と書かれている。
裏ラベルには、以下のように書かれている。
『古(いにしえ)から猫も年を経ると、人をあざむき、たぶらかす「猫叉」になると人はいう。米も醸し蒸留し、永い月日寝かせてみると人をあざむき、たぶらかす魅惑の酒(ささ)になると人はいう。
今夜はやけに月がさえざえとしている。例のように「猫また焼酎」の魔力に魅了された者が、一人また一人と杯をかさねる。これこそ猫叉の思うつぼ。しかし私も猫叉にたぶらかされ酔いに溺れてみたいものだ。』
ラベルには、しっぽが二股の猫が立ち上がり、布を被った姿が描かれている。
背中や腰、しっぽに縞柄が見られる。
・竃猫(へっついねこ)_芋焼酎/落合酒造場/宮崎県
竃猫は、宮崎県の落合酒造場が造る芋焼酎。
2種類の芋[黄金千貫(こがねせんがん)と紫優(むらさきまさり)]をブレンドした本格焼酎。
ラベルには竃猫の説明が書かれている。
『まだ、台所が土間で竃だったころ、
火の落ちた竃は、ほこほこの天国・・・
中に入って灰まみれになったり、
時には毛に焦げを作ったり、
寒がりの猫は大のお気に入り・・・。
その愛嬌ある様を”竃猫”と親しんだ・・』
描かれているの猫は、かまどで灰まみれになりながら、
暖かさを感じて気持ちよさそうにしている姿。
・山ねこ_芋焼酎/尾鈴山蒸留所/宮崎県
山ねこは、宮崎県の尾鈴山蒸留所が造る芋焼酎。
芋品種はジョイホワイトを使い、まろやかでフルーティー。
山ねこの他にも、山猿や山翡翠がある。
それぞれが芋、麦、米焼酎に造り分けられている。
動物シリーズである。
今後ウイスキーやジンにも動物を描くのだろうか。
ラベルは、ねこの『ね』の穴が赤く塗られている。
左下にはしっぽを立てて歩く黒猫が小さく描かれている。
●ウイスキー
ウイスキーは以下を紹介する。
- クライヌリッシュ(CLYNELISH)
- グレンタレット(GLENTURRET)
・クライヌリッシュ(CLYNELISH)
クライヌリッシュは、スコットランドのハイランド沿岸で造られる
シングルモルトスコッチウイスキーである。
多くのブレンデッドウイスキーのキーモルトに使われている。
クライヌリッシュとは、ゲール語で『金色の湿地』の意味という説がある。
しかし、正確なところは不明。
ラベルには山猫が描かれている。
後にサザーランド公爵となるスタッフォード伯爵が、クライヌリッシュ蒸留所の創立者である。
サザーランド公爵家の副家紋である山猫が描かれているのである。
・グレンタレット(GLENTURRET)
グレンタレットは、スコットランドのハイランド地方で造られる
シングルモルトスコッチウイスキーである。
これまでは主にブレンデッド用にウイスキーを造っていたが、
オーナーが変わり、自社のシングルモルトを押し出すようになってきた。
グレンタレットは猫との関係は深い。
スコットランドでは、昔からウイスキーの原料である
麦を食べるネズミを退治する猫をウイスキーキャットと呼んでいる。
グレンタレット蒸留所のウイスキーキャット『タウザー』はもっとも有名な猫である。
生涯に28,899匹のネズミを退治したとして、ギネスブックに記録されている。
毎日退治したネズミを蒸留所のフロアに置いていたという。
ラベルやボトルに猫は描かれていないが、蒸留所にはタウザーの銅像が建てられている。
●ジン
ジンでは以下を紹介する。
- ジンクス オールドトム・ジン/イングランド
- ハイウッド オールドトム・ジン/カナダ
オールドトム・ジンとは、通常よりも甘味を加えたジンの種類である。
オールドトム・ジンと猫の関係は、18世紀に遡る。
イギリス中に広まった粗悪なジンは規制され、密造が横行していた。
密売店の目印として、年老いた黒い雄猫(トムキャット:雄猫の英国での愛称)の看板が掲げられた。
密造酒は粗悪さをごまかすために香味や甘味を強めていたのである。
このことから甘味を加えたジンをオールドトム・ジンと呼んでいる。
現在で製造技術の進歩により、品質の高いジンが造られている。
オールドトム・ジンはドライ・ジンとは区別され、カクテルでも使われる。
・ジンクス オールドトム・ジン/イングランド
ジンクスは、イギリス イングランドで造られるオールドトム・ジン。
ボタニカルは、ジュニパーベリー、リコリス、スウィートオレンジピール、
ビターオレンジピール、レモンピール、グレインズオブパラダイス、
コリアンダーシード、アンゼリカルート。
ラベルには、こちらを見つめる黒猫が描かれている。
この黒猫には設定があり、雄猫で名前はジンクス。
両手足が靴下を履いたように白い毛並み。
ボトルの下には、傘をして雨をしのぐ黒猫(ジンクス)が立っている。
ボトルキャップのシールには猫の足跡も描かれている。
・ハイウッド オールドトム・ジン/カナダ
ハイウッドは、カナダのバンクーバーで造られるオールドトム・ジン。
以前はアークティカという名前だった。
ボタニカルは、ジュニパーベリー、オレンジピール、アンゼリカルート、
コエンドロの実と油、ヨウシュネズの油など。
ラベルには、黒猫が寝そべってこちらを見ている。
黄色の背景に黒がよく映える。
●あとがき
猫は国や地域によってとらえ方がさまざまである。
日本では招き猫のように縁起の良いものもあれば、黒猫は不吉なイメージだったり。
海外では黒猫のラベルが多いように感じるのは、お国柄なのだろうか。
ともあれ、いろいろな猫がいて楽しいかぎりである。