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マティーニと同様に人気があるマンハッタン。
マンハッタンがどのようなカクテルなのか、レシピや誕生背景を見ていこう。
●レシピ
・材料
- ライ・ウイスキー、またはバーボン・ウイスキー・・・45ml
- スイート・ベルモット・・・・・・・・・・・・・・・15ml
- アンゴスチュラ・ビターズ・・・・・・・・・・・・・1dash
- マラスキーノ・チェリー・・・・・・・・・・・・・・1個
・作り方
- カクテル・グラスを冷やしておく
- 氷を入れたミキシング・グラスにチェリー以外の材料を入れ、ステアする
- 冷えたカクテル・グラスに、ストレーナーで濾しながら注ぐ
- マラスキーノ・チェリーを沈める
●誕生背景
マンハッタンの誕生に関する有力な説は二つある。
どちらの説も正確なところはわかっていない。
- 負傷した人への気付け薬
- 元英国首相チャーチルの母親が考案
①負傷した人への気付け薬
1846年にメリーランド州のバーテンダーが、決闘で負傷した人の気付け薬代わりに、
ウイスキーとシロップとビターズで作ったものが原形。
それがニューヨークのマンハッタンに伝わった時に、
シロップではなくスイート・ベルモットが使われ、
現在のレシピと名前になったと言われている。
②元英国首相チャーチルの母親が考案
元英国首相ウィンストン・チャーチルの母親である、
レディ・ランドルフ・チャーチルが考案したと言われる。
旧姓はジェニー・ジェロームである。
1873年にイギリス商船上の舞踏会で、
ジェニーは後に夫となるランドルフ・チャーチルと出会う。
翌年の1874年4月にパリのイギリス大使館で結婚式を挙げる。
彼女の父親の友人である政治家ティルデンのニューヨーク市長当選を祝う会で、
彼女は幹事を務めていた。
ニューヨークのマンハッタン・クラブで開かれた祝賀会で披露されたのが、
彼女が考案したドリンクである。
そのドリンクの評判が良く、会場の名前に由来して『マンハッタン』と呼ばれるようになった。
この祝賀会が行われたのが1874年11月18日とされている。
しかし、同年の11月30日にイギリスでウィンストンを出産している。
彼女は1854年生まれなので20歳の時に、妊娠中にパーティーの幹事を務め、
カクテルを考案し、2週間後には渡英して、出産してることになる。
祝賀会には出席しなくても幹事を務めることは可能であるが、、、
ちなみにティルデン氏は1876年の米大統領選挙に民主党候補として臨むが僅差で敗れている。
マンハッタンの話で、ジェニーが幹事を務めたのはニューヨークの市長選挙当選祝賀会であるが、
大統領選挙の講演会だと勘違いされていることが多い。
ジェニーの息子であるウィンストン・チャーチルは1940年に英国首相となる。
ウィンストンが愛飲したのは、マンハッタンではなく超辛口のマティーニだと言われている。
●バリエーション
マンハッタンのバリエーション・カクテルとして有名なのが『ロブ・ロイ』である。
さらにロブ・ロイから派生した『ボビー・バーンズ』と『ロバート・バーンズ』も紹介しよう。
・ロブ・ロイ
材料
- スコッチ・ウイスキー・・・・・45ml
- スイート・ベルモット・・・・・15ml
- アンゴスチュラ・ビターズ・・・1dash
- マラスキーノ・チェリー・・・・1個
- カクテル・グラスを冷やしておく
- 氷を入れたミキシング・グラスにチェリー以外の材料を入れ、ステアする
- 冷えたカクテル・グラスに、ストレーナーで濾しながら注ぐ
- マラスキーノ・チェリーを沈める
ロブ・ロイはマンハッタンのバーボン(またはライ)をスコッチに替えたもの。
名前は、スコットランドの義賊英雄ロバート・ロイ・マクレガーの
愛称「ロブ・ロイ[(ROBart ROY)」に由来し、「赤毛のロバート」を意味する。
ロバート・マクレガーの生涯を描いたブロードウェイ・ミュージカルを記念して、
1894年にウォルドルフ=アストリア・ホテルのバーテンダーが創作した。
・ボビー・バーンズ
材料
- スコッチ・ウイスキー・・・40ml
- スイート・ベルモット・・・40ml
- ベネディクティン・・・・・ 5ml
- カクテル・グラスを冷やしておく
- 氷を入れたミキシング・グラスに材料を入れ、ステアする
- 冷えたカクテル・グラスに、ストレーナーで濾しながら注ぐ
名前の由来は、スコットランドの国民的詩人ロバート・バーンズにある。
ロバートが愛称ボビーである。
ロバート・バーンズは『蛍の光』の原曲の作者である。
1925年にロンドンにあるサヴォイ・ホテルのハリー・クラドックが考案。
1930年に出版した「サヴォイ・カクテルブック」にも掲載されている。
・ロバート・バーンズ
材料
- スコッチ・ウイスキー・・・・・45ml
- スイート・ベルモット・・・・・15ml
- アンゴスチュラ・ビターズ・・・1dash
- アブサン・・・・・・・・・・・1dash
- カクテル・グラスを冷やしておく
- 氷を入れたミキシング・グラスに材料を入れ、ステアする
- 冷えたカクテル・グラスに、ストレーナーで濾しながら注ぐ
ロブ・ロイにアブサンを追加したカクテル。
ボビー・バーンズと同様に、こちらもスコットランドの詩人ロバート・バーンズに由来する。
ロブ・ロイ、ロバート・バーンズ、ボビー・バーンズはよく混同される。
スコッチとスイートベルモットを使い、ステアするカクテルあるためだろう。
3つともロバート繋がりであり、ややこしい。
●あとがき
『カクテルの女王』と呼ばれるようになったのはいつからだろうか。
この呼び方はおそらく日本のみである。
海外のカクテルブックやホームページでこの表現を見かけない。
想像するに、日本の古いカクテルブックでカクテルの女王と書かれて、それが広まったのではないだろうか。
素晴らしい表現力である。