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『極上のなめらかさを持つカクテル』【ブラック・ベルベット】

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文字数:約1400文字

 なめらかなカクテルは多数があるが、その極みともいえるのがブラック・ベルベットだろう。
ブラック・ベルベットは黒ビールとシャンパンのカクテルである。
極上を生み出すのはどのようなレシピなのか、誕生背景とともに見てみよう。

ブラック・ベルベット
StockSnapによるPixabayからの画像

レシピ

材料/レシピ

  • スタウト・ビール・・・150ml
  • シャンパン・・・・・・150ml
  1. 左右の手にスタウトとシャンパンを持つ
  2. グラスに同時にゆっくりと注ぐ

 レシピはシンプルだが、意外と難しい
片方ずつ、スタウト、シャンパンの順に注いでもよい。
泡が溢れ出さないようにゆっくりと慎重に注ぐ。
シャンパンはスパークリング・ワインを使ってのよい。

 スタウト・ビールはイギリス圏で古くから飲まれている黒ビールである。
もっとも有名なものはアイルランドのギネス・スタウトだろう。

ギネス・スタウト
Milton WiklundによるPixabayからの画像

 スタウトのキメが細かくクリーミーな泡と、シャンパンの繊細な泡が、極上のなめらかさを生み出す。
そのなめらかさはベルベットのようだといわれ、『ブラック・ベルベット』と呼ばれるようになった。
スタウトもシャンパンも泡が特徴のお酒であり、それを合わせたカクテルである。

 味わいはスタウトのカラメル感と苦味に、
シャンパンのフルーティーさと爽やかさが加わり、スッキリとして飲みやすい。


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誕生背景

 ブラック・ベルベットの誕生は1861年のイギリスだとされている。
この年に英国女王であるヴィクトリア女王の夫、アルバートが亡くなった
ロンドンにある「ブルックス・ジェントルマンズ・クラブ」で、
その深い悲しみから喪に服す意味を込めて、黒いカクテルが生まれた。

喪服
Jana DによるPixabayからの画像

 当初は『シャンパン・ベルベット』と呼ばれていたが、
後に『ブラック・ベルベット』に改名された。

バリエーション

 ブラック・ベルベットのバリエーション・カクテル『ビスマルク』について紹介しよう。

材料/レシピ

  • シュバルツ・ビア・・・150ml
  • ゼクト・・・・・・150ml
  1. 左右の手にビールとゼクトを持つ
  2. グラスに同時にゆっくりと注ぐ

 ドイツでは、スタウトをドイツ産の黒ビール『シュバルツ・ビアに替え、
シャンパンをドイツ産のスパークリング・ワイン『ゼクト』に替えたものを、
ビスマルク』という。

 シュバルツ・ビアはラガー(下面発酵)で、スタウトはエール(上面発酵)である。
エールよりもラガーのほうがスッキリしている。

 フランスのシャンパンと同様に、ドイツのゼクトも厳しい基準が設けられている
世界的な知名度はシャンパンほどではないが、味はひけをとらない。

ビスマルク
Michael KnollによるPixabayからの画像

 ビスマルクは、「鉄血宰相」の異名を持つドイツの政治家オットー・フォン・ビスマルクからきている。
ビスマルクは1862年にプロイセンの首相となり、軍国主義化を進めた。
普墺戦争(プロイセン-オーストリア)、普仏戦争(プロイセン-フランス)で勝利し、
1871年にドイツ統一を実現する。
カクテルとビスマルクの関係は不明。

あとがき

 ベルベットとは毛足の長いパイル糸で織られたとてもなめらかな生地のことである。
英語でベルベット、ポルトガル語でビロード、日本語で天鵞絨(てんがじゅう)と呼ぶ。
シャンパンの泡はもともと素晴らしいものであるが、
そこにベルベットを付け足して『シャンパン・ベルベット』と呼んだのだから、
当時はそのなめらかさに相当驚いたのだろう。
簡単なので自分で作るのもよいが、
できることならバーで本物のブラック・ベルベットを味わってみてほしい。
プロが作る極上のなめらかさを体験することをおすすめする。

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