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トロピカル・カクテルは南国感を味わうことができる。
そのなかでも『チチ』『ピニャ・コラーダ』は双璧を成す定番のカクテルである。
トロピカル・カクテルの王様と呼ばれるチチ、女王と呼ばれるピニャ・コラーダ。
チチとピニャ・コラーダはごっちゃになっている人も意外と多い。
それぞれのレシピや誕生背景の紹介と、比較表をまとめた。
●レシピ
・チチ
材料/レシピ
- ウォッカ・・・・・・・・・・30ml
- パイナップル・ジュース・・・80ml
- ココナッツ・ミルク・・・・・45ml
- 各種フルーツ・・・・・・・・適量
- シェーカーにフルーツ以外の材料を入れ、シェークする
- グラスにクラッシュド・アイスを詰め、ドリンクを注ぐ
- 各種フルーツを飾り、ストローを挿す
フルーツは、カット・パイナップル、スライス・オレンジ、
マラスキーノ・チェリーが一般的
蘭の花を飾ってもよい
ウォッカはクリアなため、味わいはパイナップル・ジュースの甘味と酸味、
ココナッツ・ミルク独特の甘味とクリーミーさが合わさり、
トロピカル・ジュース感がある。
飾られたフルーツを食べながら、カクテルとのマリアージュを楽しめる。
アルコール感がほとんどないので、飲みやすい。
アルコール感を強めたい場合は、ココナッツ・ミルクをココナッツ・リキュールに替えるとよい。
・ピニャ・コラーダ
材料/レシピ
- ホワイト・ラム・・・・・・・30ml
- パイナップル・ジュース・・・80ml
- ココナッツ・ミルク・・・・・30ml
- 各種フルーツ・・・・・・・・適量
- シェーカーにフルーツ以外の材料を入れ、シェークする
ラムはプエルト・リコ産のもの、
ココナッツ・ミルクは『ココ・ロペス』を使うと本格的 - グラスにクラッシュド・アイスを詰め、ドリンクを注ぐ
- 各種フルーツを飾り、ストローを挿す
フルーツは、カット・パイナップル、スライス・オレンジ、
マラスキーノ・チェリーが一般的
蘭の花を飾ってもよい
ラム独特の風味と、パイナップル・ジュースの甘味と酸味、
ココナッツ・ミルク独特の甘味とクリーミーさが合わさり、
カリブを感じられる。
ラムはフルーツとも相性が良く、味わいに相乗効果が生まれる。
ラム独特の風味があるため、チチよりも濃厚な味わい。
ココナッツ・ミルクが15mlだけ少ないのは、ラムの風味を活かすため。
●誕生背景
・チチ
1950年代半ばにハワイで誕生したとされるが、詳細は不明。
チチの由来は、女性のブラウスのフリルを意味するフランス語の「シシ」にあるという。
そのシシがアメリカに伝わり、「粋な」「カッコイイ」の意味合いのスラング(俗語)に変化した。
そしてこのカクテルを「粋な」を意味する『チチ』と呼ぶようになったという。
・ピニャ・コラーダ
ピニャ・コラーダは1954年のプエルト・リコで誕生したとされる。
ピニャは「パイナップル」し、コラーダは(ココナッツを)「濾した」を意味する。
安易に直訳してピニャ・コラーダは「濾したパイナップル」とよくいわれるが、
実際は「濾したココナッツとパイナップル」というのが正しい解釈である。
プエルト・リコのサン・フアンにあるカリブ・ヒルトン・ホテルのバーテンダー、
ラモン・マローレ・ペレスが1954年に考案したという。
『ピニャ・カラーダ』とも呼ばれる。
ピニャ・コラーダがきっかけとなり、カクテルの新たなスタイル『コラーダ』が生まれた。
コラーダは蒸留酒とフルーツ・ジュースとココナッツ・ミルクを使い、
シェーカーまたはブレンダーで作る。
プエルト・リコでは1974年にピニャ・コラーダが国の公式ドリンクとして登録されている。
当然ラム、ココナッツ・ミルク、パイナップル・ジュースはプエルト・リコ産のものが使われる。
・ココナッツ・ミルク
ココナッツ・クリーム(ミルク)を最初に市販化したのは
プエルト・リコのラモン・ロペス・イリザリーだとされている。
ココナッツ自体は東南アジアやインド、中南米で昔から使われていた。
実や果汁、ミルクやクリームにして料理や飲料に使用されてきた。
家庭で使われていたココナッツ・クリームを大量に生産して缶詰で市販化したのは
ラモン・ロペスであり、1950年前後のことである。
現在も『ココ・ロペス』という商品名で、世界中で販売されている。
日本ではあまり見かけない。
そして、ココナッツ・ミルクを使ったトロピカル・カクテルの元祖が『ピニャ・コラーダ』なのである。
その後、ココナッツ・ミルクがハワイに伝わり、『チチ』が誕生した。
●比較表
チチとピニャ・コラーダの違いがわかるように比較表にまとめた。
チチ | ピニャ・コラーダ | |
---|---|---|
ベース | ウォッカ | ホワイト・ラム |
度数 | 約7.7% | 約8.6% |
発祥地 | ハワイ | プエルト・リコ |
誕生年 | 1950年代半ば | 1954年 |
味わい | すっきり | やや濃厚 |
ココナッツ・ミルクとパイナップル・ジュースを使うことは共通しているので、
味わいが近くなる。
しかし、ベースの違いで味わいがかなり変わってくる。
飲み比べる機会があれば、ぜひ違いを確かめてほしい。
●あとがき
チチとピニャ・コラーダはトロピカル・カクテルの双璧といっても過言ではない。
トロピカル・カクテルは南国のビーチで、パラソルのもと、優雅に味わうというイメージがある。
しかし、いつどこで飲んでもよいのである。
真冬にマティーニを飲むように、チチやピニャ・コラーダを氷やフルーツなしで飲んでもよいのである。
夏に定番のカクテルであるが、夏限定のカクテルである必要はない。