映画『ゴッド・ファーザー』のヒットによって考案されたカクテルが【ゴッド・ファーザー】である。
映画を観たことがなくとも、ゴッド・ファーザーのテーマ曲は知っている人は多い。
カクテル【ゴッド・ファーザー】のレシピや、誕生背景となった映画について、
さらにバリエーション・カクテルもみてみよう。
●レシピ
材料/レシピ
- ウイスキー・・・45ml
- アマレット・・・15ml
- オールド・ファッションド・グラスに氷を入れる
- ウイスキーとアマレットを注ぎ、軽くステアする
レシピはとてもシンプルである。
ウイスキーとアマレットを混ぜるだけ。
ウイスキーはスコッチが使われることが多い。
グラスはオールド・ファッションド・グラスを使うのが一般的であり、さまになる。
アマレットの甘く優しい香りと、ウイスキーのしっかりとした味わいが交わり、
複雑さと重みを感じる。
ゆっくりと時間をかけて飲みたいカクテルである。
●誕生背景
映画『ゴッド・ファーザー』が公開されたのは、1972年のアメリカである。
アメリカを舞台としたイタリア系マフィアの話が展開される。
ファミリー(仲間、家族)を大切にするイタリア系マフィアの愛憎劇である。
映画は大ヒットし、Part3まで続編が作られた。
テーマ曲である「ゴッド・ファーザー 愛のテーマ」は一度聴く忘れられない。
イタリア系マフィアの物語であることから、
カクテルにはイタリア産リキュール『アマレット』が使われている。
ウイスキーにはスコッチが使われることが多い。
映画の時代背景は1945年頃であり、禁酒法は1933年までである。
映画とスコッチはあまり関係がないのかもしれない。
密輸酒をイメージするなら、スコッチやアイリッシュ、カナディアンでもよいだろう。
密造酒をイメージすると、バーボンやライになる。
●アマレット
イタリア産のリキュール『アマレット』は、アンズ(アプリコット)の核(種子)から造られている。
よく杏仁豆腐の味だといわれるが、杏仁とは杏(アンズ)と仁(核の意)であるので、そのままである。
アマレットは1525年に造り出されたといわれているが、詳細はわかっていない。
イタリア語で「少し苦いもの」を意味する。
一説によると、レオナルド・ダ・ヴィンチの弟子であるベルナルディーノ・ルイーニが、
イタリア北部のサローノ(サロンノ)村でサンタ・マリア・デレ・グラツィエ教会の
フレスコ画を描くことになり、絵のモデルとして宿屋の若い女性を雇った。
その女性はルイーニに感謝のお礼として、アプリコットとアーモンドから造ったリキュールを渡した。
このリキュールの美味しさが、イタリア中に知れ渡り、さらに世界中に広まったとされる。
イタリア産アマレットはいくつかあるが、最も有名なものは『ディ・サローノ・アマレット』だろう。
アマレットといえばディサローノといわれるくらい代表的なものである。
「ディ・サローノ」とは「サローノ産」という意味である。
そう、ルイーニがフレスコ画を描いた村である。
カクテル以外にも、アマレットの優しい甘さは、デザートに使われたり、
コーヒーや紅茶に混ぜて飲まれたりしている。
ビターなチョコレートアイスにかけたり、パンケーキのシロップとしてもよく合う。
●バリエーション
ゴッド・ファーザーのバリエーション・カクテルとして以下の2つを紹介しよう。
アマレットを使うことが共通で、ベース・スピリッツを替えたものである。
- ゴッド・マザー
- フレンチ・コネクション
・ゴッド・マザー
材料/レシピ
- ウォッカ・・・・45ml
- アマレット・・・15ml
- オールド・ファッションド・グラスに氷を入れる
- ウォッカとアマレットを注ぎ、軽くステアする
ゴッド・ファーザーのウイスキーをウォッカに替えたもの。
味わいがクリアなウォッカを使うことで、アマレットの味わいを純粋に楽しめる。
甘く優しい母の味である。
カクテル【ゴッド・ファーザー】の人気にあやかって、バリエーションとして作られた。
いつどこで誰が作ったかは不明。
おそらく1970年代中後半のアメリカだと考えられている。
・フレンチ・コネクション
材料/レシピ
- ブランデー・・・45ml
- アマレット・・・15ml
- オールド・ファッションド・グラスに氷を入れる
- ブランデーとアマレットを注ぎ、軽くステアする
ゴッド・ファーザーのウイスキーをブランデーに替えたもの。
ブランデーの芳醇な香りとアマレットの甘い風味が合わさった、心地よいカクテル。
ゴッド・ファーザーと同様に、フレンチ・コネクションも映画に由来する。
1971年にアメリカで公開された映画『フレンチ・コネクション』は、
アメリカの麻薬捜査官がフランスを経由して密輸された麻薬を捜査する話。
ゴッド・ファーザーは1972年公開なので、フレンチ・コネクションのほうが公開は早い。
しかし、カクテルが考案されたのはどちらが早いかはわかっていない。
●あとがき
ゴッド・ファーザーのカクテルを飲むなら、やはり映画も観ておきたい。
さらに原作小説も読んでおくと、より奥深く感じるだろう。
フレンチ・コネクションにしても同様である。
純粋のカクテルの味を楽しむことも良いが、その背景を知ることで、さらに深みを味わうことができるだろう。