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世界各国で消費されているワインだが、その動向は国によって様々である。
生産量、消費量、輸出量、輸入量の4つのデータをレーダーチャートにまとめた。
グラフ化することで、各国のワイン動向が理解しやすくなる。
国際ブドウ・ワイン機構(OIV:International Organisation of Vine and Wine)が
公表しているデータを基にして、2022年の動向を見てみよう。
●ワインの生産量と消費量
上のグラフはワインの生産量と消費量を散布図にまとめたものである。
生産量と消費量が同量になる中心線を境にして、輸出型と輸入型に分けることができる。
中心線に近い場合は自給自足である場合が多い。
自国の生産量が消費量を大きく上回っている国は超過分を輸出していることになる。
イタリア、フランス、スペイン、チリ、オーストラリア、南アフリカなどである。
逆に自国の生産量よりも消費量が大きい国は、不足分を輸入していることになる。
アメリカ、ドイツ、イギリス、中国などである。
日本も生産量よりも消費が活発であり、多くのワインを輸入している。
●レーダーチャート(生産量、消費量、輸出入量)
生産量、消費量、輸出入量から大きく3つの傾向に分類できる。
- 輸入型
- 輸出型
- 自給自足型
・輸入型
日本は輸入型に分類できる。
自国で生産しているが、生産量よりも消費量のほうがかなり大きい。
輸出はかなり少なく、自国で生産した分のほとんどが国内で消費されている。
さらに生産量よりも輸入量のほうが多いのである。
ドイツ、オランダ、カナダも同様の傾向がある。
ドイツやカナダは輸出もしており、お店で見かけることも多いが、
国内消費量に比べると輸出量は少なく、輸入量が多いことがわかる。
レーダーチャートについている☆は2022年の各量TOP4を示している。
極端な輸入型の国は、イギリスである。
イギリス国内のワイン消費はほぼ輸入に頼っている。
近年では温暖化の影響で、イギリスでもワイン用のブドウが栽培できるようになってきたが、
ワイン生産量としては微々たるものである。
昔からイギリスはワインの輸入大国なのである。
・輸出型
生産量が国内消費量を大きく上回っている国が輸出型である。
自国のワインが他国に強く求められているのである。
イタリア、フランス、スペインなどのヨーロッパのワイン生産大国は多くを輸出している。
オーストラリア、ニュージーランドのオセアニアや、
南アフリカやチリなども当てはまる。
・自給自足型
自給自足型の代表的な国がギリシアである。
輸出入も多少行っているが、生産した分のほとんどを自国で消費している。
やや輸出はしているが、アルゼンチンも自給自足型といえる。
・その他
輸入型と自給自足型の中間にあたる国がいくつかある。
アメリカ、中国、ロシア、ブラジルなどである。
高い生産量を有するが、消費量がそれを上回っている。
これらの国はどこも大国であり、面積が広く、人口も多い。
もっともバランスの良いのがポルトガルである。
自国で生産した半分を輸出し、消費の半分を輸入している。
ポルトガルワインには、酒精強化ワインで有名なマデイラやポートも含まれている。
まとめたデータをお求めの方はこちら。
■【レーダーチャートで見る】シリーズ
・ワインの生産、消費、輸出入量
・国別お酒の輸出額
・都道府県別一人当たりの飲酒量
●あとがき
今回、生産量、消費量、輸出入量のデータをグラフにまとめた。
数字で見せられるよりも、ビジュアル的(視覚的)でわかりやすいと思う。
レーダーチャートの形状が近い国は、似たような動向になることがわかる。
4つのパラメータを使ったが、これ以上増やすと複雑になってしまう。
あと増やすとすれば年である。
年によって各パラメータは変化する。
特に量が少ない国は大きく変化することがある。
データを眺めて、その国の動向を考えるのも意外と楽しいものだ。
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