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日本酒の分類【火入れ】

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文字数:約800文字

 酒瓶によく「生酒」や「生貯蔵」などと書かれたラベルが貼られている。
これがどのようなものかについて、説明する。

 日本酒は上槽(搾り)後、火入れ作業の有無とタイミングで分類される。

火入れ説明図

●火入れとは

火
PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

 上槽(搾り)、ろ過されたお酒を加熱することで、残存酵素を失活させる工程が火入れである。
通常、低温加熱殺菌を貯蔵前と瓶詰め前に計2回行う

 残存酵素には悪性の乳酸菌である火落ち菌が含まれている。
火落ち菌はお酒の香りや味わいに悪影響を与えるため、加熱殺菌する。
加熱は60~65℃で30分程度行われ、その後急冷される。

●生酒(なまざけ)

 本生(ほんなま)とも呼ばれる。
火入れを一切行わないことで、お酒本来のフレッシュでみずみずしい味わいを持つ。

 ただし品質が変化しやすく、長期保存に向かない。
冷蔵輸送がない時代は、蔵でしか生酒を味わうことができなかった。

●生貯蔵酒(なまちょぞうしゅ)

 2回ある火入れのうち、貯蔵前には火入れを行わず、瓶詰め前のみ火入れを行ったもの。
生の状態で貯蔵されるため、フレッシュ感は残っている。

味と品質のバランス

●生詰め酒(なまづめしゅ)

 2回ある火入れのうち、貯蔵前に火入れを行い、瓶詰め前は行わないもの。
火入れしたから貯蔵されるため、フレッシュ感はかなり落ちてしまう。

 少しでもフレッシュ感を保つため、瓶詰めしてから加熱する瓶燗(びんかん)火入れが
多く行われている。
密閉してから加熱することで、香味が飛び去らずに瓶内に留まる。

 秋口に出荷される『ひやおろし』(秋上がり)の多くは、生詰め酒である。
貯蔵前に火入れして、暑い夏が終わるまで約半年の間、寝かされる。

●あとがき

 本来の味わいを楽しめる生酒のほうが飲みたいのは当然だが、品質管理とのバランスが難しい。
現代だからこそ、生酒が出回るようになっているが、一昔前では考えられなかった。
火入れは安定した品質のものを届けようと考え出された製法なのだ。
極力鮮度を落とさない火入れ方法が今も考案され続けている。






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