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日本酒のみならず、すべてのお酒造りに必須なのが酵母である。
日本酒と酵母についてみていこう。
●酵母とは?
簡単にいうとアルコールを作る微生物である。
糖を分解して、アルコールと二酸化炭素をつくるほかに、
日本酒の香りや味わいに大きな影響を与える。
大きさは直径5~10ミクロンで、キノコやカビと同じ真菌の仲間である。
酵母はアルコール度数が高くなると死滅してしまう。
アルコール度数10%以下では活発に増殖するが、
それ以上になると徐々に活動が鈍くなり、15%を超えると死に始め、
20%以上では完全に死滅してしまう。
●酵母の種類
大きく分けると以下のようになる。
- きょうかい酵母:日本醸造協会が販売している酵母
- 自治体の開発酵母:各都道府県が開発した酵母
- 蔵付酵母:各蔵に棲みついている野生の酵母
- 花酵母:花から分離した酵母
多くの蔵で使われているのが「きょうかい酵母」である。
きょうかい酵母は様々な蔵の野生酵母の中から優秀なものを選別し、
純粋培養したもので、これにより安定した酒造りができるようになった。
きょうかい酵母には番号が付けられており、6号(新政酵母)や7号(真澄酵母)、9号(熊本酵母)が
昔からよく使われているが、最近はフルーティな香りのものが流行りのようだ。
また、番号に「01」が付けられた(例601、701)泡なし酵母も人気である。
厳密にいうと泡が潰れやすいということだが、これは泡に付着するタンパク質が少ないためである。
ビールは泡をキープするためにタンパク質が必要になるが、
日本酒造りでは泡がタンクから吹きこぼれないように管理するのも一苦労なのだ。
●あとがき
酵母が、自分で作ったアルコールの濃度が高くなりすぎると死んでしまうのは、
人に似ていると思う。
なにごともそうであるが、やり過ぎは良くない。
働き過ぎも良くないし、飲み過ぎも良くないのである。