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日本酒造りの製法が確立されたのは江戸時代だと言われている。
現代では技術発展により、独自性のある製法も誕生しているが、
今回は一般的な製法について書いていく。
●日本酒造り
●精米
原料となる玄米の表面を削り取り白米にする。
表層部にはタンパク質や脂質などが多く含まれており、旨味や雑味のもとになる。
しっかり削られた米で造られるとすっきりした味わいになる。
どこまで削るかは目標とする酒質によって決める。
●洗米
精米された米には米くずがついているため、洗って取り除く。
高度に精米された米は割れやすく、洗米時には注意が必要。
●浸漬
米に水を吸わせる。
ただ吸わせればよいわけではなく、どの程度吸水させるかで、
次工程の蒸しに大きな影響を与える。
温度や湿度、天候など様々な条件を加味して秒単位で吸水を行う。
●蒸し
高温の蒸気で蒸すことで米を内部を軟らかくする。
理想の状態は外側は硬く、内側は軟らかい「外硬内軟」である。
食用米のように炊いてしまうと、外硬内軟にはならない。
できあがった蒸米は、製麹用、酒母用、仕込み用に分けられる。
●製麹(せいきく、せいぎく)
蒸米(むしまい、じょうまい)に麹菌をふりかけて、繁殖させる。
約2日かけて麹菌の菌糸をしっかり内部まで食い込ませる。
●酒母造り(しゅぼづくり)
次工程の発酵をスムーズに進めるために酒母を造る。
蒸米、米麹、水に酵母を加えて造られる。
このとき醸造用乳酸を添加して造るものを速醸系、
蔵内の野生の乳酸菌を利用するものを生酛系という。
●仕込み(もろみ造り)
一般的に3回に分けて仕込まれる。
最初に酒母に米麹、蒸米、水を加える(初添え)。
十分に酵母を増殖させるために1日寝かせる(踊り)。
追加で米麹、蒸米、水を加える(仲添え)。
さらに米麹、蒸米、水を加える(留添え)。
ゆっくりアルコール発酵が進み、もろみができがある。
●上槽(搾り)
できあがったもろみを搾ることで酒と酒粕に分ける。
搾り方には自動圧搾機を使う方法や、伝統的な槽搾りなどがある。
●オリ引き・ろ過
上槽後の酒にはまだオリと呼ばれる固形物が含まれている。
酒を静置し、オリを沈めて上澄みのみを取る。
さらに活性炭素を混ぜてフィルターでろ過する。
●火入れ(1回目)
酵母や菌を失活させるために、低温加熱殺菌を行う。
●貯蔵
火入れされた酒は、タンクで数カ月寝かして、味を落ち着かせる。
●加水
原酒に仕込み水を加えてアルコール度数を調整する。
●火入れ(2回目)・瓶詰
火入れと瓶詰めはセットで行われる。
瓶の状態で火入れされることを瓶燗火入れという。
●出荷
ラベルを貼られ、出荷される。
●あとがき
日本酒は他のお酒と比べても、やはり複雑だ。
美味しい日本酒を造るにはどの工程も必要なことである。
昔は日本酒造りは蔵に泊まり込んで、寝ずの番をしながら行ものだったが、
今は効率の良い設備の導入や、管理設備の充実で過酷な作業はだいぶ軽減されている。
しかし昔ながらの伝統的な製法にこだわっている蔵もあり、
その味を懐かしく思い、ファンになる人がいるのも現代の面白さなのだと思う。