文字数:約1400文字
焼酎に使われる原料はさまざまである。
使ってはいけない原料はあるが、それ以外はなんでも使ってよい。
使わなければならない原料の指定がないのが、他のお酒と大きく違う点である。
●米焼酎
米を原料とし、熊本をはじめ、全国各地で造られている。
フルーティで、爽やかな吟醸香がただようのが特徴。
日本酒の酒蔵が手がけるものも多数ある。
日本酒造りと違い、米の精米歩合は80~90%である。
これは食用の精米と同程度であり、米の外側のタンパク質や脂質が焼酎の旨みになる。
・原料
原料として使われる米は、食用米やタイ米、日本酒に使われている酒造好適米などさまざまである。
米の種類はジャポニカ米、インディカ米、ジャバニカ米の三種に分けられる。
インディカ米はたいていの泡盛で使用されている。
ジャポニカ米 | インディカ米 | ジャバニカ米 | |
---|---|---|---|
形状 | 短粒 丸みを帯びた楕円 | 長粒 細長い | 大粒 ジャポニカより少し長い |
吸水 | 吸水しやすい | 吸水しにくい | ジャポニカより吸水しにくい |
見た目 食感 | 炊くと粘り気あり ツヤが出る | 炊いても粘り気がない パサパサ感がある | 炊くと粘りがある あっさりしている |
生育環境 | 温暖で適度な雨が降る | 高温多湿 | 熱帯高地 |
栽培地域 | 日本、中国北東部、 朝鮮半島、アメリカ西海岸、 オーストラリア | インド、タイ、 南アジア、東南アジア、 中国、アメリカ大陸 | アメリカ、ブラジル、 ヨーロッパ、アフリカ |
生産シェア | 20%弱 | 80% | 極少量 |
・米麹
米麹に使わる米の多くはインディカ米である。
インディカ米は粘り気がないので米同士が固まらず、均一に麹菌が付着できる。
このため、管理がしやすいことが好まれている。
一般的にジャポニカ米の麹は上品な味わいに、インディカ米の麹はコクが強い焼酎になりやすい。
米麹は米焼酎に使われるが、麦焼酎や芋焼酎などほかの焼酎にも使われる。
これはほかの原料で造られる麹(麦麹、芋麹、蕎麦麹など)よりも、
デンプンを糖に分解するちからが強いためである。
●球磨焼酎
1995年にWTO(世界貿易機関)によって、
熊本県球磨郡と人吉市で造られる米焼酎が地理的表示を認定された。
以下の条件を満たすことで地理的表示として「球磨(くま)焼酎」と名乗ることができる
・原料
・製法
江戸時代の熊本の石高は約2万2000石とされていたが、実は10万石の収穫があったと言われている。
山に囲まれた奥深くに肥沃な盆地があり、球磨川からの豊富な水もあった。
そこに「隠し田」を作り、秘かに米を栽培していた。
この米を使い、酒造りが発展を遂げてきた歴史がある。
●あとがき
日本人の主食である米を使った、米焼酎。
数ある焼酎のなかで米焼酎は、原料別の構成比率が1割ほどである。
国民の主食を使ったお酒なのだからもっと飲まれてもよいと思う。
これはおそらく、日本酒とバッティングしている可能性がある。
米焼酎を日本酒の延長線と考えている人が多いのでないだろうか。
これらは同じ米を使っていても、風味や味わいが全く違う。
米焼酎は日本酒よりもアルコール度数が高いだけのお酒ではないのだ。