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本格焼酎造りは原料によって若干違うが、ここでは芋焼酎の場合を記す。
他の蒸留酒との違いは、一次仕込みと二次仕込みで原料が違うことである。
芋焼酎では多くが米麹を使用する。
●副原料(米)
・洗米・浸漬
すでに精米されている米を洗い、水に浸して吸水させる。
使う米の種類によって吸水速度が違うため、その日の気温や湿度によって時間を調整する。
・米蒸し
適度に水分を吸収した米を蒸す。
米は蒸されることにより、やわらかくなり、麹菌が付きやすくなる。
昔は手作業で蒸していたが、現在は自動蒸し機を使うことが多い。
・種付
蒸米を35~40℃程度に冷まして、種麹を手作業で振りまき、よく混ぜ込む。
種麹は麹の専門業者から購入する。
・製麹
種付された米を自動製麹機に入れ、麹菌を繁殖させる。
機械の中では一定の温度で管理され、およそ40時間で、安定した品質の麹ができる。
昔は手作業だったが、現在の焼酎造りでは機械作業である。
日本酒造りでは手作業の蔵が多い。
・一次仕込み
仕込み用のタンクに、完成した米麹、水、酵母を投入する。
麹によって米のデンプンが糖に分解され、その糖は酵母によってアルコールと二酸化炭素になる。
日本酒と同様に、糖化と発酵を同時に行う、並行複発酵である。
タンク内をよく攪拌して、5~8日ほどで一次もろみが完成する。
一次もろみが完成するまでにサツマイモの準備をする。
芋焼酎では白麹が使われることが多い。
白麹はクエン酸を生成し、雑菌の繁殖を抑えることにより、腐敗を防ぐ。
酵母はクエン酸による酸性環境でも活動できるものが選ばれる。
●主原料(芋)
・芋収穫
1回に仕込みに使うサツマイモは数トンの量になる。
芋の鮮度が重要なため、二次仕込みの前日または当日の朝に収穫される。
・芋選別
サツマイモの傷や変色、大きさなどを人の目で選別する。
形や大きさが一つ一つ違うため、自動化ができない。
サツマイモの両端や、傷んでいる部分をカットして品質を安定させる。
・芋蒸し
サツマイモを蒸してやわらかくしたのち、細かく粉砕する。
蒸すことで殺菌も兼ねている。
・二次仕込み
一次仕込みでできたもろみに、蒸して粉砕したサツマイモと水を加える。
よくかき混ぜて7~10日かけてアルコール発酵させると、二次もろみが完成する。
・蒸留
できあがった二次もろみを単式蒸留器で蒸留する。
ステンレス製の蒸留器が主に使われるが、木桶蒸留器を使う蔵もある。
芋焼酎では常圧蒸留が用いれることが多い。
蒸留することでアルコール度数を高めた原液が得られる。
・貯蔵・熟成
得られた原液を冷却し、余計な油分を取り除く。
その後、タンク貯蔵や樽、甕熟成を行う。
・ブレンド・割水
複数のタンク、または甕で寝かされたものをブレンドして味を整える。
水を加えて、アルコール度数を調整する。
この割水は仕込み水と同じものを使う。
ちなみにウイスキーでは純水が使われる。
・瓶詰め・ラベル貼り・出荷
瓶詰め、ラベル貼りは機械化されていることが多いが、
小規模な蔵や、特殊瓶などの場合は手作業で行われる。
●あとがき
芋選別は人力で行っているが、将来的にはAIの画像認識と、
ウォーターカットの組み合わせで、自動化されるかもしれない。
しかし、設備の導入コストを回収できるのは大手メーカーに限られるだろう。